
母の存在
私の父は、母の存在により外で恥をかかない。
父の友人達も、父の株が上がるのは”奥様の力が
半分以上あると思います”と、母の事をほめる。
一見、派手で若く、お化粧もしっかりとしていて
カッ飛んだ生活の常連者だが、それでいて見る所は
きちんと見て、やる事はきちんとやる。父が外で恥を
かかないためには、何をすればいいのか考える。
物心ついた頃から何かあると、「ちゃんとお礼を
言えた?」「おかえししなくてもいいの?」
「ごあいさつは?」と、耳にタコが出来るくらいに
言われて育った。今でもそれは続いている。当時は、
そんな母をうっとうしく思い、そこまでしなくても……
と思っていたが、今になるとそのお陰で私は外で恥を
かかない。母はよく『私は自分の母親に、外で
旦那さんの靴を見ると、その家の奥様がどんな人なのか
わかる、と教えられてきた』と言って、父の靴を毎朝
磨く母の姿を見て育った。今時の若者にはピンと
来ない話かもしれないが……。
もちろん、育ちは皆違う。これは、私の育った環境の
一部の話であり、誰だって自分の親が一番好きで
あって、親の言うことは絶対!!と思う人は多い。
義理人情で付き合いづらいと思われるのと、知らない
ところで恥をかくのと、どちらがいいかといえば、
私は前者である。次に生まれる時にも、私は同じ母親
から生まれたいと思っている。
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